ガーミン 「inReach MINI」 ※ロック機構付きエスビナーは別売のナイトアイズ社製
ソロハイカー御用達の最強デバイス
圏外よ、さらば。ヘリレスキューや第三者への個人賠償に加え、
会員証を兼ねた900MHzの電波を発するビーコンがセットになったアレ。
あのビーコンはかなり普及・浸透しているのか、山友の中でも所有者は多い。
もし遭難して動けなくなった場合に限り、上空が開けたところであれば、
至近距離まで飛んできたヘリがビーコンの電波をキャッチすることができれば
要救助者の早期発見・救出が可能になるというものである。
まだ全国対応では無いようであるが、あれはあれで非常時には有用だと思う。
遭難と言ってもその状況は様々だ。
ソロで、目撃なしで、
・滑落等で大怪我をして動けないか意識が無いような重大事故の場合
・木の根っこにつまづいて変な転け方をして動けなくなり誰も通らない場所だった場合
・体調不良・気分不良で歩けなくなった場合。
・道迷いで現在地がわからなくなって抜け出せなくなって日没になった場合
などなどいくらでもまさかの想定外がある。
それらが起きた時にケータイが通じないか、ケータイがかけれない状態の場合、
レスキューに来てもらえるのはいったい何時間後?いや、何日後かになるだろう。
しかもそのためには、
・登山届を出していて登山計画やルートがあらかじめわかっていること。
・遭難した事に仲間や家族がいち早く気づいて関係機関に連絡してくれること。
・レスキューヘリが飛べる気象条件であること。という最高の条件が揃っていても最短、翌日夜明け以降にはなるのではないだろうか。
そうなると置かれている状況によっては低体温、熱中症、脱水、
またはその他の事態で生存できる残り時間に待ったなしとなるかもしれない。
もっと早くアクションを起こせないか?
レスキュー隊に頼る前に仲間や身内だけで対処・解決できないか?
と考えた場合、結局は何らかの手段で助けを呼ぶしか無い。
ホイッスル等で近くにいる他人に気づいてもらうのが最短かもしれないが、
それすらも期待できない状況であれば、残るは通信手段しかない。
スマホ圏外だったら?通じても意識がなかったら連絡しようがないではないか?
それらを叶える、最新鋭の双方向衛星通信デバイスがinReachシリーズだ。
しかも平常時の山行等でも活用できるというデバイスなのである。
かつてGPS専用機を中心として市場を席巻してきたガーミン社。
最近ではアスリート向けのウォッチなどでもすっかりその社名が一般にも浸透。
スマホの耐候性や即位性能、バッテリー持続時間の性能向上により
個人的にはGPS専用機の出番はほぼゼロとなり、
スマホトラブル時の予備機という位置づけになってしまったこの頃。
GARMIN社の製品とは今後、もう縁は無いかもなぁと思っていたら、
高機能アウトドアウォッチ「
Instinct」(ソーラーパワー版も出た)もそう、
物欲をくすぐる気になる製品がいつの間にやらチラホラと出ているではないか。
そんな中でも最速で導入すべきだと思って購入したのが
今回紹介する「
inReach mini(インリーチ・ミニ)」である。
機能の詳細に関しては他のレビューサイトなどを探していただくと出てくるので
当記事では現実的な運用を想定した部分について書いてみた。
・全世界をカバーする66機のイリジウム衛星経由で通信ができる。
・通信は空が開けていれば事実上圏外は無い。
・双方向でメッセージ(メール)のやり取りができる。
・メッセージには位置情報を付加できる。
・絶対絶命の時にはSOSボタンでグローバルレスキューを呼べる。
・本体は100gでたまご1個分の重さ
・アンテナ部を除く本体部分は名刺の半分ほどのサイズである。
・フル充電で50時間持続(つけっぱなしでなくても良い)
・USB-B端子でモバイルバッテリーでも充電可能
iridium connectedロゴが入っている
ランニングコストがかかり、いちばん安いプランで月額約12ドル。
これを高いとみるかどうかはイザというときの命綱と思えば許容範囲かなと思った。
以下の範囲内でメッセージを利用すればこの12ドルを越えることはない。
・自由に編集できる3種類のプリセットメッセージは何通送信しても無料。
・自由に編集できる最大10種類のクイックテキストを選択して送信するか
Bluetooth接続したスマホアプリからの自由メッセージ送信は月10通まで無料。 (11通目から1通あたり0.5ドル、また返信する場合も同料金)
メッセージは、デバイス直接操作やスマホ経由操作で送信する以外に、
一定間隔(10分~4時間)で位置情報付きメッセージを自動送信させることもできるので
移動経路・経過を知らせることができる。
では実際にこのデバイスを山登りではどう活用していくか。
何回送信しても無料という、あらかじめ作成しておく3種類のプリセットメッセージを
通常登山においても普段から徹底活用することにした。
プリセットメッセージは前もってWebの管理画面にて
・メッセージ内容(160文字まで)
・送信先(複数メールアドレス記述可)
・位置情報(MapShare)を付加するかどうかをそれぞれ個別に登録しておく。
山中などの現場では、簡単なボタン操作でそれらを選択して送信するだけである。
複雑で面倒な操作は登山中にしたくはないし、そんなゆとりもない。
カシオのプロトレック腕時計のボタン操作ですら覚えにくいし面倒だと思う自分でも
inReach MINIの操作は至って簡単、明瞭だ。
ではその3個のプリセットメッセージはどのような内容にするか。
最初、
1.登山開始、2.山頂到着、3.下山完了くらいでええかなぁなんて安易に考えていたが、
自分自身にも送るとして受け取る側として考えるとそんな情報はいちいち要らないかも?と思った。
1や
3は山麓だろうからスマホで通じるだろう。
下山完了連絡が必要なら、仮に圏外だったとしても通じるようになってからでも遅くはないだろう。
圏外でもどうしても連絡を取りたいのであればスマホとリンクさせてLINE感覚でメッセージを送ればよい。
そんなわけで私見であるが、通常時の登山中の連絡を主体とした想定で作ったのが以下である。
登山以外の状況でも活用できることを考慮した内容にしている。
緊急・非常時のメッセージを3つのプリセットメッセージに盛り込んでいないのは、
誤操作→誤送信によって大ごとになるミスを回避するためである。
1:Planned > 計画通りルート移動中
2:Unplanned > 予定変更ルート移動中
3:REST/STAY > 休憩・停滞・泊
プリセットメッセージは前もって送信先(複数可)やMapShare(位置情報を付けるか)を登録しておく
クイックテキストは送信先の手入力か、前もって登録しておいたメールアドレスやSMSから都度選択可
プリセットメッセージのほうは無料なのでどのメッセージを送っても大勢に影響が無い、
人を動かすほどの緊急性がない、通常連絡で多用できるような内容にしている。
一方、クイックテキストのほうは1通0.5ドルと有料(月10通までは無料)なので濃い内容にしている。
160文字も書けるので、
「
Planned > 計画通りルート移動中(このメッセージが遭難直前の最後の位置情報になることがあります)」
とかでもよいかも。
有事に本当に重要になるのは、最後に届いたメッセージに付いている位置情報なのだ。
もし緊急事態を伝える間もなく連絡が途絶えた時、真っ先に駆けつける場所となるわけである。
そのためには、もし○○時間経過しても次の連絡がなければ非常事態と思って準備をしてほしい
などと、あらかじめ申し合わせておかなければならないが。
ちなみに英語表記をアタマに加えているのは、inReach mini本体を直接操作して送信する際、
本体画面では日本語表示が未対応なので全角2バイト文字は画面上だけ化けてしまう。
本体操作で選択する時に、どのプリセットメッセージを送るのか判別できないと困るので。
緊急事態ではあるが、レスキュー隊を呼んでもらうほどではないけど動けないので
なるはやで助けに来て!と連絡したい場合は有料メッセージ(月10通までなら無料)を利用すればよい。
スマホとリンクさせなくても10個まではプリセットしてしたのを宛先も含めて選択して送信できる。
そして、レスキュー隊に来てほしいほどの重大な、命に関わるかもしれない非常事態発生時には
誤操作防止キャップを開けてSOS専用ボタンを押下となる。

プリセットメッセージに定義した「
Unplanned > 予定変更・移動中」を選択している画面。
日本語表示非対応のため文字化けするので英語表記も加えている。
Webの管理画面で編集した内容は、スマホアプリのEarthmateとSync(同期)させれば転送される。
ちなみに、プリセットメッセージを選んで送信ポチっとやればすぐに送信完了するわけではなく、
送信予約となって衛星補足が収束次第、アラーム音が鳴って送信完了となる。
画面を見ればメッセージの送信が完了したかどうかは判別できる。
※即送信(位置情報なし)することも可能
電源を切ろうとしたときに送信完了していないメッセージがあれば警告してくれる。
送信先は複数個書けるが、自分の場合、自分のGmailアドレス1個だけにしている。
Gmailで受信したメッセージは、メールに含まれる特定のキーワードでフィルタリングさせて
送っておきたい人のメールアドレス(複数)に転送設定をしている。
加えて、特定のLINEグループにも同メール内容を通知するように設定している。
これにはGAS(Google Apps Script)上でスクリプトを書く知識が少々必要であるが、
指定したGmailアドレスに届いた指定キーワードの含まれるメールだけをLINEにも同時に送れる。
つまり、Gmail→(GAS)→LINE NOTIFY(これをLINEグループに招待しておく)
という流れとなる。
Gmail宛に届いたメール黄色の部分がプリセットメッセージ、あるいはクイックテキストメッセージである。
赤色の部分は座標である。
例では、
Lat 34.412538 Lon 135.664244となっている。(北緯+東経)
これをGoogleマップで位置確認したい場合は、
「
Lat_」部を「
n」(北緯)に、「
Lon_」部を「
e」(東経)に置き換えて
n34.412538 e135.664244としてGoogleマップの検索欄に入力すればよい。
※スペースの箇所に注意
わざわざGoogleマップで見なくても本文中のリンクを踏むだけで確認できるが、
警察やレスキュー等に位置を知らせる場合にはこの座標が有効となる。
LINEでの通知メールなり、LINEなりの本文にあるリンクを開くと
以下のように
OpenStreetMap上にて位置確認ができる。
さらに拡大していって衛星写真で見ることも可能。

何度かテストした結果、最大でも誤差約5m程度で安定していた。
本デバイスは他にもGPSログを記録するトラッキング機能などもあるにはあるが、
GPS受信性能はいささか頼りないのでそういう用途には向かない。
それってどういうこと?いちばん重要な部分では??と思ってしまうのも無理はない。
おそらくグロナス衛星やみちびき衛星どころかGPS衛星にも対応していないのではないか?
と思えるほどの一世代前の捕捉性能である。
つまり、電源投入して一度衛星を捕捉したらずっと掴んだまま粘ってくれると思いきや
わりとあっさり手放してしまう感じがした。
金剛山では、谷間なのに受信できたかと思うと尾根で受信できてなかったりで途切れ途切れ。
じっとしていればそのうち受信できるのだろうけど移動し続けていると
「
Wait for GPS」と出て衛星検索中表示になることがたびたびあった。
もし位置情報衛星を受信しているというのならいったい同時に何個受信できるのか?
GPS(米国)=24基、GLONASS(ロシア)=24基、みちびき(日本)=7基もあるというのに。
これは勝手な想像であるが、位置情報はイリジウム通信衛星から得たものではないだろうか。
つまり、イリジウム通信衛星しか受信しないのではないか?
捕捉したイリジウム衛星から位置情報信号を受け取って表示しているのでは?
それなら納得できる。
GPSなどの位置情報衛星よりも通信衛星のほうが捕捉に時間がかかることが経験上多い。
地図表示機能もある上位モデルならまた仕組みが違うのかもしれないが。
実際に何度か試したところ、位置情報を捕捉した場合の誤差は約5mという精度だった。
移動し続けていると捕捉しにくく、立ち止まっていれば捕捉してくれる感じだった。トラッキングログの取得はinReach miniを使わずにスマホなんかに任せておけばいいのだ。
それよりなにより、野外であれば場所を問わず位置情報が添付されたメッセージを
いつでもどこからでも世界中から送れるという点が最大の魅力である。
※ただし機械モノなのだけに全面的に頼らず、予備の予備、フェールセーフで!

金剛山山頂でも「
Wait for GPS」と表示されて受信に時間がかかることもあった。
バッテリー寿命:
50時間(つけっぱなしの場合) ※電源ON後5秒で起動するので使うときにONでも可。
防水等級:
IPX7重量:
100g
正面から見た大きさはアンテナを含めてほぼ名刺サイズ

GARMIN「INSTINCT」と「inReach MINI」はBluetooth接続できるので、
inReach MINIはザックの天袋に入れておき、
INSTINCTからの操作でプリセットメッセージの送信等ができる。