『今日の大杉谷』 ハイビジョン(HD)撮影 (2分33秒) 短いです。汗;
驚くべきスケールにエメラルドグリーンの川、
近畿にこんなスゴい秘境があったとは。
それにしても緊張の連続であった。<コース>
宮川第三発電所-大日グラ吊橋-能谷吊橋-地獄谷吊橋-京良出合-日浦杉吊橋-
千尋滝前休憩所-シシ淵-ニコニコ滝休憩所-平等グラ吊橋-加茂助吊橋-
桃ノ木山の家-七ツ釜滝高いところが超苦手なので、山でドキドキひやひやするような山行きはあえてしない。
山の新鮮な空気を胸いっぱい吸い込みながら一日中ふつうに山の中をのんびり歩けたらそれだけでいい。
しかし先日、あの近畿の秘境大杉谷の登山道の一部が8年ぶりに開通したとのニュースがあった。
今回の開通により通行できるようになったのは、
大台ケ原側:日出ヶ岳~堂倉滝(4.7km)
三重県側:宮川第三発電所~七ツ釜滝(約7km)である。

中日新聞より引用
堂倉滝~七ツ釜滝間の2.5km区間は、崩落によって小さなビルくらいの岩がゴロゴロと塞いでおり
未だに復旧のメドが立たないような状態らしい。
そんなわけでGWでもあることであるし、ちょっとくらいはいつもの週末と違った山に行ってみたい
との思いから、三重県側から七ツ釜滝を見るのを目標に行ってみることにした。
前日、ブログ「
あほな人の山日記」の
danashiさんの動画を観たり、下調べをしていると
上級者向け登山道であることや、毎年
転落事故が絶えないなどの情報を知るに連れて
心臓はドキドキ・・バクバク・・。
山友からの他の山域の山登りを断ってまで行ってみたくなったのだが直前になって不安。
深夜の移動は車も少なくスムーズ。奈良から三重に入ると行き交う車もなしで真っ暗闇。
国道166号線を延々と走ってきて今度は国道422号線へ。
そして最後は県道53号へ。それにしても遠かった。
車が一台づつしか渡れない橋を渡ってダム湖岸を走るも、
真っ暗闇なので回りがどんなところなのかさっぱりわからないので怖いぐらい。
そんなこんなでようやく宮川第三発電所の少し手前にあるトイレ手前に到着。
すでに他府県ナンバーを含む車が3台ほど止まっていた。
もう少し手前には区画線も引かれた広い駐車場もあった。
町から遠く離れた山深いところなので満天の星空がものすごくキレイだ。
日の出時刻の5時を過ぎるとようやくあたりが明るくなってきたので準備にとりかかる。
大型バイクの若者が単独でやってきたので話をすると東京から来たという。
日帰りで七ツ釜滝まで行くとのこと。
登山届の箱があって、その上には地図や登山届の紙、鉛筆までもが設置されていたので記入。
数本ある鉛筆の芯はぜんぶ尖っていたけど2Hの芯は薄かった。(^^;
今日の目標は時間的にシシ淵のちょっと先くらいかなぁと思っていたが、出発時間も早いし、
お昼は今回ゆっくり摂るつもりはなく縦走モードの行動食だけで済ませる覚悟。
もしかしたら自分も七ツ釜滝まで行けるかもなぁとやる気になってきた。
かなりの危険を伴う登山道(片道7km)をピストンするというわけだから
時間に余裕はあっても体力的に大丈夫だろうか?と思う。
5時30分、トイレ前を出発。
舗装路を少し歩くとすぐに行き止まりとなって目の前に「宮川第三発電所」が現れる。
向かって左側にはエメラルドグリーンの美しい幅広の川。
水は流れているのか止まっているのかわからない穏やかな感じ。
宮川第三発電所の前を通って裏側へ抜けると登山口がある。
登り始めてすぐ、あの「
高熱隧道」を思い出す黒部渓谷の下ノ廊下のような「大日グラ」が現れる。
しかもなかなかの高所!写真で見てびびっていたシーンである。
実際はというと、それなりに幅もあるし鎖も付いているので緊張することもなく平静に歩けた。
危険そうなところは鎖がしっかり付いているので安心。
この程度ならぜんぜん大丈夫だと思いながら進むのであったが・・・。
とにかくまわりの山はほとんど岩でできていて、どこもかしこもグラである。
そしてやたらと吊り橋が多い。そしてアップダウンのくり返し。
最初に現れたのは小さな「大日グラ吊橋」、そして次は低い「能谷吊橋」。
能谷吊り橋は渡らなくても、広い河原に下りてトラバース?できてしまう。(帰りは河原から迂回した)
これはあくまでも水が少ないときに限られるだろう。
しばらく行くと川の中に何やら塔がある。水位観測用のものらしい。地図には載っていない。
水の多いときは先に進めないと書かれた看板もあるが、その時はいったいどれくらいの水量になるのだろう。
川面に近い高さでのアップダウンのくり返し。
出発してから1時間10分ほどで京良出合(キヨラとも読む)に到着。
ここまでは平和だった。。
京良出合に「警告」の看板が登場!ここから先は転落事故多発だと書かれている。
これ以降、何度となく「警告」の看板が登場することになる。
これらの看板は、その危険ゾーンがわかるように始まりと終わりがある。
気を引き締めて行くことにする。
ほんの少し登っただけと思っていたら、気がつくと川面からものすごい高さになっていることしばしば。
そして京良(キヨラ)の危険ゾーンはというと・・けっこうヤバイ。
つまずいたり、転倒したり、膝カックンされたり?人とすれ違いう時に谷側ぎりぎりを歩いたりすると
簡単に足を滑らせて転落してしまいそうなところ。
しかも山側や路面は土なので鎖やロープの類は付けられていない。
今回、危険ゾーンでのすれ違いは無かったが、そんなところで人とすれ違いたくは無い。
谷を見ないで足下を注意しながら一歩一歩ゆっくり確実に歩ければなんとか大丈夫だ。
このあたりはさすがにヒヤヒヤで、写真を撮るゆとりは無かった。
次に比較的大きめの「地獄谷吊橋」が登場。なかなかの高所であるが、吊り橋は頑丈そのもの。
そしてまた鎖の続く岩場のアップダウンが延々とつづく。
この高所感、危険度、さらには渓谷美や滝の迫力は写真では臨場感を持った表現ができない。
ついに「千尋滝」が見えた。
山のてっぺんから川までのものすごい高低差をすごい音をたてて落ちている。
あんな高いところにどうやってあれだけの水量が集まるのか不思議だ。
しかもそれが川まで通じているのでどれくらい長いことか。
それからは岩場のトラバースの危険ゾーンを越え、水の滴るトンネルをくぐると猪ヶ淵(シシ淵)だ。
これまでずっと高所を歩いてきたが、シシ淵で久しぶりに川辺まで下りることができた。(8時20分着)
ここはなかなかの渓谷美で、休憩や撮影スポットとなっているようだ。
奥にはニコニコ滝の一部が見えている。
昨日(4月28日)に復旧開通するまではこのシシ淵までであった。
今日はここからさらに奥に進むことになる。
すぐにまた川辺から離れて登り出すとすぐにまた高所となる。
出だしの大日ぐらと似た岩場を繰り抜いた廊下になっているが、こちらはさらに危険度アップ。
鎖もなぜか二重になっている。
そこをクリアすると休憩所があってニコニコ滝がよく見える。
安全に撮影できるスポットである。
そこからしばらく行くと、今回数多く登場した吊り橋の中でも大きさ、高さ共に最大級の
「平等ぐら吊り橋」が姿を現した。(8時55分着)
総工費2億円をかけて設置されたこの吊橋の完成で、今回の開通ルートが歩けるようになったのだ。
そして右手には巨大な平等ぐらが垂直にそびえ立っている。
奈良県十津川村の谷瀬の吊り橋より高いかなぁ。
渡り終えたら登り基調になってしばらく行くと地図には無い「加茂助吊橋」。
この吊橋は短いながらもものすごく高い。平等ぐら吊橋より高いんじゃないかな。
その後、安全な道をさらに歩き、ついにあの「桃ノ木山の家」が見えた。(9時35分)
なかなか立派な山小屋である。休憩500円とある。
ここまで物資を運ぶのは、おそらく2.5km登ったところにある
大台林道からアクセスするのではないだろうか。
桃ノ木山の家まで来たらあと片道25分で最奥の「七ツ釜滝」だ。
平和な道でありますようにと思う願いもむなしく危険なところがあった。
足下の岩が濡れているとツルツル滑るところがあるので、大丈夫だと思っていても転倒即転落の危険がある。
石橋を叩いて渡るつもりで鎖から手を離すことなく歩くべきである。
10時10分、ついに最終目的地の「七ツ釜滝」に到着。
出発してからおよそ4時間半のことであった。
7段?になった滝はさすがに圧巻で、高所から落ちてくる千尋滝、落差のあるニコニコ滝と比べても
圧倒的な存在感があり、今回のルート上、もっともインパクトのある滝であると思った。
写真ではどうしてもふつうの滝にしか見えないが、こればかりは自分の目で見る意外に伝えようが無い。
ここの休憩所でオニギリを食べたり写真を撮ったりと30分ほど居た。
奈良から来られたという若い男性から声をかけていただいた。
その男性は金剛山でorisさんに声をかけられた方だということであった。
この度はありがとうございました。
さて、ここから先は通行止めであるからして大台ケ原まで登ることはできないゆえ、
来た道を戻ることになる。(泣)
帰りのコースタイムは若干短いとは言え、あの数々の危険ゾーンをくぐりぬけて
帰らないといけないと思うとつらいものがあるが、余力は十分にあった。まだ午前だし。
一度通ったルートなので心のゆとりも生まれ、往路では撮れなかったものを撮りながら帰った。
今回、最も危険だと思ったのは、キヨラのゾーン、二重鎖のゾーン、七ツ釜滝までの廊下の3箇所。
それにしてもたくさん吊橋があったなぁ。
下山完了は15時5分。
その他の写真は以下より。