そういえば千早本道のある金剛登山口バス停前に、
個人宅を思わせるような駐在所があるのを思い出した。
これまでに何度かミニパトが赤色灯を回して走っているのや、
時にはサイレン鳴らしながら緊急執行しているのを見たこともある。
何かと忙しそうである。
駐在さんというとのんびりしたイメージがあるが、楽な仕事じゃないはずだ。
ボランティアで結成された金剛警備隊という組織があるのは知らなかった。
冬の金剛山、救助に備えボランティア「警備隊」始動 /大阪2001/01/14 朝日新聞 朝刊 33ページより引用 大阪、奈良府県境の金剛山(標高一、一二五メートル)で、冬場に救助活動をしているボ
ランティア団体「金剛警備隊」(北浦公生隊長)が、この冬の活動をスタートさせた。二月
までの毎週末、山頂にある詰め所に常駐し、負傷者の救助や行方不明者の捜索にあたる。
「警備隊」は、地元の千早赤阪村の草野球チームが母体となり、一九六〇年に結成された。
メンバーは地元出身の公務員や会社員ら三十代から七十代までの十六人。これまでに八百七
十人以上を救護してきた。
金剛山は、山頂付近で樹氷や霧氷が見られることで知られ、ピーク時は一日二万人を超す
登山客がある。警備隊や富田林署によると、雪やぬかるみで滑ってけがをする人が多いとい
う。雪が強く降った七日にも、下山途中の男性が転んで左肩を強く打ち、救急車が出動して
いる。
北浦隊長は「金剛山は標高は低いが、立派な冬山。十分な準備をしてきてほしい」と話し
ている。
同警備隊は若手の入隊者を募集している。希望者は期間中に山頂詰め所まで。
【写真説明】
富田林署員らとそりを使った救助訓練に取り組む金剛警備隊の隊員たち=金剛山頂で
[府警駐在さん・47の風景]/4 赤阪駐在所 三谷英司さん /大阪2002/02/01 毎日新聞 地方版 23ページより引用 ◇赤阪駐在所、三谷英司さん(50)
◆「理想的な勤務地」
◇1890年4月1日開設 千早赤阪村水分72
手ごろな冬山として人気を集める大阪、奈良府県境の金剛山(1125メートル)。毎年
50万人以上の登山客が樹氷や霧氷を楽しむ一方で、雪に足を滑らせけがをしたり、わき道
に迷い込んで行方不明になるなどトラブルも絶えない。そんなハイカーの命を守る駐在さん
がいる。富田林署赤阪駐在所の三谷英司巡査部長(50)。同駐在所に赴任して7年、冬の
週末には必ず山に向かい、「安全で楽しい登山」のバックアップに努める。
同署には、千早赤阪村に3人、富田林市に1人の計4人の駐在さんがいる。三谷さんら
4人は、地元有志で作るボランティア団体「金剛警備隊」のメンバー16人とともに警備に
あたる。けが人の救助、行方不明者の捜索、登山道の案内……。自殺志願者の行方を追うこ
ともある。
府警の警察官になったのは72年。最初の勤務地は府南部の交番だった。開発がまだ
進んでいない時代。風景は、生まれ育った「四国の田舎」と似ていた。だが一つ違ったのは、
かつて接してきたような「駐在さん」が居なかったことだ。「交番だと地域に溶け込みたくて
も限界があるんです」。幼いころ、自分と同じように生活して、いろんな相談にのってくれた
古里の駐在さんの姿を自分にダブらせていた。そして、駐在を希望するようになった。
95年3月、ようやく赤阪駐在所の勤務が決まった。「こじんまりとした村で、理想的な
勤務地でした」と言うように、すぐに溶け込んだ。三谷さんが留守をしていた駐在所に1人の
おばあさんがずっと待っていたことがあった。聞くと「交通事故があったので知らせよう
と思って……」と言う。「『110番せなあかんやん』と言いましたけど、それだけ信頼さ
れていると思うと、うれしくて」と目を細める。
「まじめで、優しくて、親しみやすくて。定年までずっと居てほしい」と、赴任当時から
三谷さんの仕事ぶりを見てきた金剛警備隊長の北浦公生さん(64)。その姿は、三谷さんが
幼いころ見てきた駐在さんそのものだった。
◇メモ
府内唯一の村、千早赤阪村の北部に位置し、奈良県御所市と接する。面積19.4平方キ
ロ、人口約2500人。高齢者夫婦のみの世帯が多い。葛城山などを抱える管内東部は金剛
生駒国定公園の一角で、管内の大半が山林。富田林署のデータによると、昨年1年間の金剛
山の登山者数は64万2000人、行方不明者2人、けが人13人。